木元貴章 インストラクター デイリーライフ

神奈川在住のフリーインストラクター 木元貴章のブログです!

大谷翔平、周囲の支えが結実したドジャース1号

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ドジャース大谷翔平投手(29)が3日(日本時間4日)に開幕9試合、41打席目で移籍後初本塁打をマーク。試合後にはファン、ロバーツ監督をはじめ、ベッツ、フリーマンらチームメート、スタッフに感謝の言葉を口にした。環境が変わる中、周囲の支えを肌で感じながら放った今季1号。エンゼルス時代から大谷を追う安藤宏太記者が、その胸の内を「見た」。

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 想像を超える苦難と不安があったことを物語っていた。ベースを一周した後にT・ヘルナンデスからヒマワリの種を浴びせられたことを問われると、「ああやってやってもらって、グラウンドの外でもいろいろ皆にサポートしてもらって、選手もそうですし、スタッフのみなさんもそうですし、本当にありがたいなと思います」と周囲へ感謝を真っ先に口にした。

 昨季は本塁打王で2度目のMVPに輝き、スポーツ史上最高額の10年総額7億ドル(約1022億円=契約発表時のレート)という看板を背負ってドジャース入団。ベッツやフリーマンらスター選手ぞろいの常勝軍団でもあり、「早く一員として認められるように結果を出したい」と話していた。

 だが、なかなか結果が出なかった。だからこそ、仲間の支えが身に染みた。ロバーツ監督からは試合前、「自分らしくいれば、それだけでいい」と声をかけられた。「それで気持ちが楽になりました」と精神的余裕を持てた。開幕から好調な前後を打つベッツ、フリーマンには「(自身の)調子が悪い中で、例えば無死三塁、1死三塁のシチュエーションで安打が出なくともチームに貢献できるシチュエーションがあったりするので、そこはむしろ助けられている」と、必要以上の重圧がなくなったことを感謝した。

 取材に応じたのはヒーローインタビューと日米報道陣の囲み取材で計9分ほどだったが、これだけ多くの人への感謝の思いを口にすることは珍しい。大谷はドジャース移籍決断の理由を、昨年12月の入団会見で「常に挑戦したいと思っている」と説明していた。未知の世界に飛び込むことは承知の上だったが、水原元通訳の解雇もあり、周囲のサポートをより実感した側面もあるだろう。

 目の肥えたメジャーのファンは厳しい。これだけの大型契約で加入し、結果が出なければ痛烈なブーイングを浴びせる。だが、チケットが完売になり、5万2746人のファンが総立ちになったことは、新天地で認められた瞬間だった。

 試合後。記者は翌日のシカゴ移動に備え、ロサンゼルス空港近くのレンタカー会社に車を返却した。手続きをした際、私が日本人だと分かると、店員が急にハイテンションになった。「今日は大谷がホームランを打ったよな? 最高な一日だ! 何本打つのか教えてくれよ!」。街全体が大谷の活躍を熱望している。多くの人の助けを受けて一回り大きくなり、大人になった永遠の野球少年が、ここからロサンゼルスを魅了していく。

 大谷が本塁打を放ってベンチに戻った際に大量のヒマワリの種を浴びせたT・ヘルナンデスはいたずらな笑顔で「みんなで祝ったんだ。彼よりもチームメートの方が喜んでいたと思うよ」と、うれしそうに振り返った。昨季、エンゼルスでは本塁打を放った際に兜(かぶと)をかぶるのが恒例行事だったが、これからはヒマワリの種を浴び続けることになるかもしれない。